日々の暮らしの中から これは と思える話題を選び、それにまつわる思いや体験をお伝えします。「できごと」欄の補完のようなものです。このホームページそのものが、まだ元気でいるよと発信する窓口のようなものですから、その趣旨に徹します。ご意見がありましたら、気軽にお知らせ下さい。

暮らしの中から－83：トンネル換気

　鉄道でも自動車でも、トンネルを抜けることは珍しくない。よほど長いトンネルでもなければ、殆ど無意識に通り過ぎてしまう。旧知のNさんは、自動車トンネルの換気防災設備を専門とする会社を創業し、今年25周年を迎えた。その記念事業に招かれて祝辞を述べたのを機に、現役時代40年にわたり国内の主要なトンネルの換気計画に参画してきた日々を懐かしく思い出した。この折りに、トンネル換気について簡潔にご紹介しよう。
　鉄道の電化が進んだ今日、地下鉄を別にすると、換気を必要とする鉄道トンネルは珍しくなった。日本一長い青函トンネル(54 km)では、2本の斜坑からトンネル中央に新鮮空気を供給し、内部温度の調節や火災時の安全避難に対応しているが、長大かつ海底である故の特殊な例である。
　自動車トンネルでは、エンジンから排出される汚染物質（一酸化炭素や窒素酸化物などの有害ガスとディーゼル煤煙）を許容限界以下に希釈する換気がつねに問題となる。有害ガスは呼吸を通じて通行者の健康に、煤煙は視認距離の低下によってドライバーの安全運転に危険を及ぼす。
　トンネル内で排出された汚染物質は、坑口間の気圧差による自然換気、自動車によって押し出される交通換気、車によってかき回される拡散作用によって外部に運び出される。これらの作用が充分強ければ、機械的な換気を必要としない。500メートル以下の短いトンネルは、ほとんどがこれに該当する。
　500メートルを超える自動車トンネルの建設計画が決まると、交通量、一方通行か対面通行か、地形気象条件、坑口での環境規制などを考慮して、換気防災設備の必要性が判断される。
　昔の自動車は公害の元凶だった。しかし相次ぐ排ガス規制の強化によって、最近ではガソリン車、ディーゼル車とも汚染物質の排出が激減した。電気自動車の普及が進めば、汚染物質の排出は更に低下してゆく。このため、トンネル換気装置は、汚染物質を希釈する目的より、火災時の安全避難に必要な気流を確保する目的で設置されるケースが多くなった。最近、天井にジェットファンを取り付けたトンネル（上図右）を多く目にするが、常時運転しているファンに出会うことは珍しい。
　関越トンネル(11 km、上図左)、恵那山トンネル(7 km)、東京湾アクアトンネル(10 km)などの長大トンネルでは、換気装置が常時運転している。かつて長大トンネルといえば、山岳トンネルがほとんどだった。しかし、都市の地下高速道路の建設が進むにつれて、長大の記録はそちらに奪われてしまった。現在、首都高速道路の山手トンネル(19 km)が、自動車トンネルの最長記録を持っている。道路トンネルが地下鉄の感覚に近付き、より身近な存在になってきた。
　自動車トンネルでは、日本坂トンネルの火災事故、笹子トンネルの天井板落下事故のように、人命に関わる重大事故を起こした過去がある。自動車トンネルの換気防災設備が、通行者の安全を守り抜くことを願ってやまない。



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　　　　　　　　　　81：地域の集い－クルマ部会　 82：名簿が消える

　 　　思い出の一枚シリーズ1：博士帽でパレード 　 2：最初で最後の扁額
　　　　　　　　　　3：頭部像－東洋の若者　　　　4：四股のそろい踏み
　　　　　　　　　　5：上海站軟座待合室風景　　　6：歩け歩け大会
　　　　　　　　　　7：最後の遠出  　　　　　　　 8：マイカー3号
　　　　　　　　　　9：スキー合宿　　　　　　　　10：サファリ体験
　　　　　　　　　　11：ハナミズキとの出会い 　　12：富士山

　　　言葉の玉手箱シリーズ1：徳は得　　　　　　　2：忍
　　　　　　　　　　3：神は予兆を発し給う　　　　4：言葉は比喩
　　　　　　　　　　5：仁から始まる　　　　　　　6：楽観は意思、悲観は気分
　　　　　　　　　　7：頂に立つと次の頂が見える　8：見ようとしたものしか見えない
　　　　　　　　　　9：冒険は若さの特権　　　　　10：今日は人生最初の日です

　　　技術者シリーズ1：技術者って誰、若者の答　　2：口を揃えて技術者育成
　　　　　　　　　　3：みんな技術者 　　　 　　　 4：仕事考 - プロ三態
　　　　　　　　　　5：技術に関わる様々な仕事　　6：IEAによる職能分類
　　　　　　　　　　7：科学と技術、それを担う人　8：技術に関わる職能分類 -1
　　　　　　　　　　9：技術に関わる職能分類 -2 　 1-10 総括を含むシリーズ全編

　　　マンガシリーズ1：粘性が生まれる仕組み　　　2：損失(ロス)が生じる仕組み
　　　　　　　　　　3：押し屋さんとエンタルピー　4：痩せたバッタと太ったサナギ
　　　　　　　　　　5: 手書きからｸﾘｯﾌﾟｱｰﾄへ 　　　6: 何のために学ぶのか - 1
　　　　　　　　　　7: 何のために学ぶのか - 2 　　 8: 二つの科学
　　　　　　　　　　9: 科学者と技術者　　　　　　10: 科学と非科学
　　　　　　　　　　11: 人間関係の構図　　 　　　12: 東洋的深層心理

　　　　懐旧シリーズ1：マイカー 1号　 　　　　　2：最初の運転免許
　　　　　　　　　　3：日独学位記比較　　　 　　4：初めての空の旅
　　　　　　　　　　5：60年前の回転計　　　　　 6：三種の算器　
　　　　　　　　　　7：パソコン１号　　　　　　 8：Nordkappこと北の岬
　　　　　　　　　　9：写真の移り変り 　 　 　　10：パスポートの今昔
　　　　その他

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Let's find facts!　2016年8月改訂、最終版

統計が語る日本の大学　 Japanese universites found in statistics

　　Topics 1: 入学者の年齢分布　Age distribution of new entrants
　　Topics 2: 卒業率の比較　Comparison of completion rate
　　Topics 3: 就職活動の開始時期 　Timing when students start seeking a job
　　Tpoics 4: IMD世界競争力ランキングから 　Ranking by IMD Yearbook

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簡単な自己紹介 　

• 　1931年東京で生まれる．男性，既婚，子供男二人，孫男四人女一人．身長 175→173 cm(加齢のため)，体重 66＋α kg (努力目標：α＝0，現在 +2)，白髪度9分，白眉．

• 　杉並第四小学校卒，都立第四中学校（現戸山高校）に１年在籍して東京陸軍幼年学校に入学．４ヶ月半で敗戦により閉校，疎開先の新潟県立村松中学校２年に編入，中学４年が終わると新制村松高等学校２年生に早変わり．大学に入るまでは，戦争，敗戦，疎開，学制改革と目まぐるしい青春時代を過ごす．

• 　1954年東京大学工学部機械工学科を卒業して直ちに石川島重工業（現IHI）に就職、５年間ガスタービンおよび空気圧縮機の設計に従事．うち２年間はDAAD留学生としてドイツで研究に従事．

• 　1959年から33年間、東京大学工学部機械工学科で講師、助教授、教授を歴任して教育と研究に従事．研究の中心はターボ機械の流動現象．1992年定年退職、東京大学名誉教授．

• 　1992年から25年間、工学院大学で教育と経営に従事．92年教授、94年から03年まで９年間学長としてグローバルエンジニアの育成に努める．03年工学院大学名誉教授．その後03年から11年まで８年間、学校法人工学院大学の理事長として中・高・大学を含む学園経営に専念する．退任後17年まで法人の顧問を務める.

• 　2017年以降、すべての役職を離れて静かに歩む．2017年末妻が先立ち、独り暮らし始まる．

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東京都世田谷区在住